: まず、男子のレポをアップするにあたって、最初に書いておかなければならないことがある。それは「男子バレーと女子バレーは今や違うスポーツだ」といっても過言ではないこと。私のような一介のファンが「あそこの戦術はどうだこうだ」と言えるようなレベルを、現在の男子バレーは遥かに通り越している。恐らく女子が今大会実力以上の活躍を見せたことで、男子の戦いぶりに余計に不満がつのるというのもわからないではない。が、女子バレーがまだまだ「最大集中やー！」などという旧態依然とした根性論で何とかなるぐらい、世界各国のバレーのレベルが発展途上段階（今大会でのイタリア・クロアチア・アルゼンチン等がいい例、詳しくは女子編参照のこと）なのに対し、男子は今や戦術のイタチゴッコとも呼べるほど世界各国の戦術レベルがハイスピードで進んでしまっている。Yahoo!の掲示板等を見ていても「４年前の大会では５位だったのに．．．」などという書き込みで溢れているが、その大会と同じメンバーで次の年にアトランタオリンピックの出場権を逃したことを忘れているのではないであろうか？たった１年ですら世界のレベルアップのスピードに日本は追いつけなかった。いや、むしろ前回のワールドカップの５位というのがまやかしとも言える。なぜならヨーロッパ勢はワールドカップに�Tわずか２チーム�Uしか出られない。現に前回はロシアですら出られなかった。他にも「日本よりは遥かに強いがヨーロッパ選手権で２位以内には入れないから」ワールドカップには来られないチームというのがたくさんいたのである．．．。

で、現在の日本の世界ランキングは19位。チュニジアの21位を除けば、今大会の参加チーム中最低である。つまりは「１勝10敗」というのが順当な結果。いやラリーポイント制ではたった２つしかランクの変わらないチュニジアに負けることも十分にありえること。「11戦全敗」でも何ら不思議はない。が、未だに�T変なプライドだけを持ち続けている�U女子に比べれば、いったんここまで落ちてしまった男子には「失うものはない」はず。女子には厳しい私だが、男子には純粋に頑張ってもらいたいと思う。というのも最初に書いたように、もはや１ファンが戦術云々を言ってどうにかなるレベルではないのである。その点女子はリードブロックをブラジルがようやく導入し始めた段階。まだ私でもついていける範囲だからこそ、いろいろボロも見えてしまって、逆にあまり試合を「純粋に」楽しんだり応援できない。が、男子は「純粋に」応援できる。見ていて「すごい」と思える。

女子編でも総括として最後に書いたように、フジテレビをはじめとするマスコミに踊らされ、今の日本のバレー界では「無知な」ファンがどんどん増えようとしている。すごく偉そうな言い方になって申し訳ないが、恐れていたとおり「無知ゆえの」戦術批判、采配批判が溢れている。何度も言うように「今の男子バレーはファンが口をはさめるようなレベルを通り越している」し「日本の世界ランキングは19位」である。せっかく加藤選手・朝日選手といったいい芽が出つつある状態なのに、ファンが�T目先の勝利�Uを焦るあまり今の全日本男子に実力以上の結果を期待し、的外れな「戦術批判・采配批判」をすることだけはやめてもらいたい。女子ならともかく男子にはファンの出る幕はない。現にバルセロナオリンピックでブラジル男子が優勝することを予想したファンはいるのか？去年の世界選手権でのオランダの予選落ち・ユーゴスラビアの準優勝を予想したファンがいるのか？

というわけで、男子編は女子編と違い、辛口なコメントはあまりないと思います。それを期待されていた方にはごめんなさい．．．。女子バレーでは「昔の全日本が強かった頃」の幻想を抱いているファンが多いので、それをまず打ち砕くために「日本と世界との距離」を戦術面から見てきましたが、男子バレーでは、現在の全日本が何を目指そうとしているのか？を中心に見ていこうと思います。何度も言いますが、私のような一介のファンが「あそこはこうすべきだった」とかいう安易な批判は出来る立場ではありません。ただ「こういうことを狙っているのだろう」とかいうことを「想像する」ことが限界なのです．．．。世界が何を目指しているのか？という前にまず全日本が何を目指しているのか？これがわからないようでは世界のことをいくらここで書いても何の意味もありません。まずは「現在の男子バレーたるもの」を語る上での�T最低限の基本事項�Uを押さえてもらわないと。それなしに安易に戦術批判、采配批判をされても「無知ゆえの」と言わざるをえなくなるわけですので。

前置きが長くなってしまいましたので、本編は次回からということで．．．。

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