: そうそう、これを待ってたんですよ〜。フルセットの大熱戦を！地上波の放送しか御覧になってらっしゃらない方は、恐らくはここまでロシアが苦しむとは予想しなかったのではと思われるが、そこはさすがわれらがブラジルの組織バレーといったところ。キューバ戦同様、せっかく試合前のチェックをしていたので、それに則って書いていきたい。要するに、リューバ対ブラジルのリードブロック＋リカルダのレシーブである。

まず、試合はじめ、スタメンを聞いて、おや？という感じ。というのもブラジルにアナ＝モーゼがいないのである。これまでも格下相手には19歳のエリカがフル出場していたが、大事な試合となるとやはりアナ＝モーゼが出てきていたので、当然今日も彼女がスタメンだろうと思ったのであるが、非常に意外だった。ひょっとしてアナ＝モーゼの膝の具合が悪化したのだろうか？

第１セット、まずティーシェンコのワンレッグをビルナがブロック。直後ゴーディナが連続スパイクミス。いきなり３-０のスタート。まだロシアは余裕なのかリューバのアタックを１本も見せない。ビルナが決めて４-１となった後、ようやく待ってました！というばかりに、リューバのＡクイック。が、それをジャニナが見事にシャット！リューバのクイックがこれだけ見事にシャットされたのは今大会初めて。さすがに彼女も少しおかしくなる。ジャンプサーブもミスを犯して８-４とブラジルの４点リードで最初のテクニカルタイムアウト。その後、エリカのレフトオープンがロシアの３枚ブロックに止められ、やはりエリカでは荷が重いのでは？とも思わせたが、その後のエリカのサーブがまわってきたときに思い出した！そうだ、彼女にはこの強烈なジャンプサーブがあったのだ！（個人ランキング参照のこと）恐らくレゼンデ監督は、今のロシアのリューバ・モロゾワを中心とする非常に安定したサーブレシーブ（これも個人ランキングを参照のこと）を崩してリードブロック＋リカルダのレシーブで勝つためには、ベテランのアナ＝モーゼの攻撃力を捨ててでも、エリカのジャンプサーブが必要と睨んだのかもしれない．．．。そして、レイラも序盤からエンジン全快の兆し。シャープな彼女らしいバックアタックを決め11-７。直後ゴーディナをジャニナがまともにシャット。その後ティーシェンコのワンレッグをまたまたビルナがワンタッチを取り、それをビルナ自身が２段トスで決める。13-７、いきなりの思わぬ大差である。たまらずリューバのパイプに２本連続で頼るも、彼女としては全くもって信じられない連続ミスで16-７。が、ここからバシレフスカヤがブラジルのリカルダをはずしてうまくサーブを打ち、４連続得点で、16-11まで追い上げる。が、その後の選手が一貫してその方法でサーブを打つわけでもなく、レイラ・ビルナ・ジャニナが決めて19-15。一方のロシアはやはりリューバしかない。前衛では彼女の攻撃に頼り、サーブにまわるときっちりリカルダをはずして打ち、見事サービスエースで19-18と１点差まで追い上げ、ブラジルたまらずタイムアウト。こうなると逆にやはりブラジルが焦り出すかと思いきや、今度はブラジルがエリカのサービスエースが決まって、22-19。ロシアタイムアウト。カルポリ監督は早速大激怒。ビルナがレフトから決めて24-21。最後はアルタモノワのバックアタックがネットにかかり、25-21でブラジルが先取。さぁ、面白い展開になってきた！

それにしてもエリカの起用が早速当たり、さすがはレゼンデ監督。リューバに対するブロックもきっちりマークができていたので、彼女にしては本当にめずらしい低い決定率。が、このまま終わるはずはないであろう、ロシア。ブラジルの心配な点は、キューバ戦同様、若干リカルダをはずしてサーブを打たれ気味なところだろうか？

第２セット、第１セットでもリカルダをはずしてブラジルを崩したバシレフスカヤのサーブから。やはりリカルダには取らせず、ロシア３点連取。レイラが１本切って１-３。ゴーディナ・ビルナ・レイラと両チームのポイントゲッターが打ち合って、３-５。ここでリューバがこの試合初めてライトにワンレッグに開いて決め、３-６。直後彼女のジャンプサーブでブラジルを崩して、３-７と４点差。このセットはロシアペース。というのもこのセットは一貫してリカルダをはずしてサーブを打ってきているからである。レイラのバックアタックもクロスコースをアルタモノワが読み切ってシャット。エリカの若さ故のミスもあって７-12とじりじり離される雰囲気。直後の長いラリーもビルナへの２段トスのアタックをリューバがシャット。このあたりからようやくリューバが乗ってくる。センターからのクイックにはきっちりブラジルのセンターラインがマークについているものの、ライトへまわる攻撃にはついていけないようである。やはりこれはアナ＝モーゼを出していないことが響いている。ロシアに連続ブロックポイントが出て、８-16のダブルスコアでテクニカルタイムアウト。が、その後アルタモノワ立て続けにカリンにシャットされ、たまらずリューバのパイプを使うも、やはり中央攻撃にはブラジルのリードブロックが機能し３枚ブロック。15-18と追い上げ、ロシアたまらずタイムアウト。相変わらずカルポリ監督は怒っている。選手たちも今日ばかりはどうも表情がさえない。タイムアウト直後もアルタモノワがシャットされて、16-18。17-20からブラジル頼みのエリカのサーブだが、モロゾワが平然とカットを返し、１本で切る。両チーム一進一退の攻防で、19-22からリューバのＡクイックはまたまたワンタッチを取られ、ロシアピンチもゴーディナが何とか切り19-23。20-23からエリカがリューバにシャットされてロシアセットポイント。最後はビルナのパイプをロシアがナイスレシーブで切り返して、20-25。ロシアが取り返す。

第２セットは結局エリカのジャンプサーブでロシアが崩れるというのがなかったので、相対的に彼女を出すメリットよりも、レフトオープンを決めきれないというデメリットの方が上回ってしまった感じであった。

第３セット、ロシアが３つローテーションを回してスタートしてくる。どうやら、第２セットにアルタモノワがカリンにいいように止められたので、それを避けるために表裏を入れ替えたようだ。そのため、ロシアの最初のサーバーがリューバということになり、彼女のジャンプサーブがブラジルを崩し、いきなり６-１と大量リード。エリカがなかなか決まらず、またロシアが表裏を入れ替えたことで、ブラジルの選手がリードブロックのために恐らくは前日に頭に入れていたであろう相手のローテーションがずれてしまったためだろうか、それまでリューバの中央攻撃は全くといっていいほど決まっていなかったのに、このセットではまともに決まり、ロシアが波に乗り15-９。が、アルタモノワがせっかく３つ回したのに今度はカリンの対角のジャニナの方にシャットされてしまう。どうも今日のアルタモノワはおかしいようだ。リューバのパイプをリカルダがナイスレシーブ、その後今度はゴーディナがバックアタックを打つがミス、17-12とブラジル追い上げムード。が、何せ、エリカのサーブ以外ではロシアのカットが乱れないから、ここからなかなか点差が縮まらない。一方のロシアはアルタモノワのジャンプサーブで21-13。このセットは決まってしまった。最後はエリカのサーブミスで25-17。このセットは完全にロシアとブラジルのジャンプサーブの差が出た。

第４セット、ロシアはやはり第３セットと同じローテーションで来た。つまりはいきなりリューバのジャンプサーブ。彼女のサーブでやはりブラジルが崩れ、２-０。が、アルタモノワがまたもブロックされて２-２の同点。アルタモノワが決め返して３-２となるも、長いラリーからリューバのパイプを使うもカリンが遅れながらもついていき、見事にシャット！直後エリカのジャンプサーブが決まって、場内から例の「ブラジルコール」が始まる。今まで決まっていたゴーディナもジャニナがつかまえて８-５のブラジル３点リードでテクニカルタイムアウト。場内も巻き込んで乗ってくればブラジルは強い。ワンタッチを我慢強く取り、リカルダのナイスレシーブで繋ぎ、エリカが２段トスを打ち切る。レイラも強打を決める。が、ロシアも必死。日本戦のようないい加減なブロックは決してしない。しつこくしつこく２枚ついてくる。が、アルタモノワが決まらないので、ロシアは決め手に欠ける。13-８でロシアタイムアウト。アルタモノワに代わりゴーディナが必死にオープンを打ち込み、ブラジルはビルナが対抗。両チームレフトの打ち合いという様相が濃くなってくる。今日のゴーディナはほんとにすごい。が、ゴーディナが後衛に下がるときつい．．．早速アルタモノワがブラジルの３枚ブロックに合い19-15。何とか３つローテーションを回し、再びゴーディナとビルナの打ち合いも最後はゴーディナが少し疲れてミス。25-22でブラジルがものにし、ついに念願のフルセットゲーム！

そして第５セット。ロシアがまたまたローテーションをずらしてくる。ブラジルのサーブで始まったが、サイドアウトを一つロシアが取ればアルタモノワがサーブに下がるポジションからである。つまりはゴーディナが上がってくるわけで、調子のいい彼女に託したというわけである。一方のブラジルも４-４からエリカの時間差攻撃がわずかにサイドラインを割り、これでもう若い彼女には頼るわけにはいかず、第４セットの途中からの流れどおり、ゴーディナ対ビルナという図式に完全になる。６-５とロシア１点リードの場面でティーシェンコがサービスエース。その勢いで、８-５の３点リードでチェンジコート。ブラジルはカリン、ロシアはリューバのそれぞれワンレッグで１点ずつ加え９-６。ここでビルナをロシアが３枚ブロックで捕まえ、10-６。これで苦しくなったブラジルは長いラリーの後エリカのパイプを使うも、ロシアにシャットされ、11-６。ここに来てやはりビルナが明らかに疲れてきた。一方のロシアは今まで不発だったアルタモノワが決め、ゴーディナ１人に頼らなくてもいい状態。代わりにカリン・ジャニナのセンター線で難所を切るも、ラリーの後は２段トスをビルナにあげざるをえず、ビルナが連続ミス。最後はジャニナをティーシェンコが止めて15-９。M.I.P.はティーシェンコだったが、本来ならば今日はゴーディナであろう。あるいは、各セット的確にローテーションをいじったカルポリ監督か？（笑）

最後はロシアの底力というか、やはりフルセットになるとエースが２枚いないとブラジルは辛い。最終セットだけでもアナ＝モーゼを出せば何とかなったのでは、とも思われるが、あくまで本番は来年のシドニーでの舞台である。あえてアナ＝モーゼに今年無理をさせる必要はない。さすが外国チームの監督はそこらへん冷静である。それよりもエリカがフル出場してのこの結果はエリカ自身にとっても大きかったのではないかと思われる。カルポリ監督の頭脳的采配には屈したが、ブラジルとしては目指してきたリードブロックがロシアにも通用する（現にリューバの打数がこの試合は少なかった！）ことがわかり、自分たちのやってきたことが間違いなかったと認識できたことだけで、この大会の意味はあったといえるだろう。もちろんシドニーの切符も手中にしたし！

一方のロシアは、ついに全勝でキューバと当たることになった！今日の疲れが多分明日に響くではあろうが、明日もいい試合を見せてもらいたい！鍵はリューバのサーブカットが、アゲロをはじめとするキューバの強烈なサーブにも崩されないこと、これが何といっても大事である！

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