: さすが４強同士の対決。ブラジルも前々日のキューバ戦の敗戦のショックをよく立て直して、気持ちを切り替えて中国の呉 咏梅対策を、一方中国もブラジルのリードブロック対策を十二分に練ってきたようで、お互いミスの少ない、非常に高いレベルの試合となった。

第１セット、序盤は中国がブラジルの呉 咏梅対策を逆手にとって、彼女をおとりにレフト平行、センターからの時間差を多用、それがはまって、中国が常に主導権を握る。一方ブラジルも今まで不調のレイラが、今日はスタートから立て続けにアタックを連発、ビルナも昨日までどおりの好調を維持し、安定感のある攻撃で中国に食らいつき、そのビルナのパイプで16-16と追いつき、中国タイムアウト。この直後ようやく呉 咏梅のワンレッグを使い17-16、そのあと中国のサービスエースで18-16と２点差が付くと、ブラジルはまたまたビルナのパイプで１点差。すると今度は中国がまた呉 咏梅のワンレッグで19-17と、後半になりようやくお互い正攻法で力と力の対決。するとブラジルのリードブロックがはまり始め、21-20と逆転。このあたりはキューバ戦で見直した(！)２枚替え要因のアタッカーのエリザンジェラの活躍もあった。確かに彼女も力を持っている。彼女が後衛にまわり、再びレイラが戻ってくると、中国が彼女の攻撃からワンタッチを取って、切り返してまたまた逆転。そのあとこのセットで初めてといっていいミス（ネットタッチ）をブラジルが犯し、24-22と中国のセットポイント。レイラがお返しとばかりにインナーへ強打を決めるも、直後やはり最後は呉 咏梅のワンレッグで25-23で中国が先取する。

ブラジルとしてはセットを取られたものの、レイラが復調気味なのはいい兆し。やはり彼女はできるだけ多くのトスを打たせてあげた方が、調子が出やすいようだ。

第２セット、乗ってきたレイラのサーブで中国のカットを乱し、ブロックで押さえ込む形が出て５-２とリード。となるとやはり中国は呉 咏梅に頼らざるを得なくなり、対策を練ってきたブラジルのブロックにワンタッチを取られ始め、長いラリーが続くようになるが、アナ＝モーゼが今一つ決まらないのと、レイラの調子がまたまたおかしくなり始め、アタックミスを出して同点。サイド攻撃がなかなか決まらないブラジルは、比較的好調なジャニナ・カリンのセンター線を多用し始める。ここらあたり、やはり攻撃の手数の多いブラジルの強さが出ているというところだろうか。中国もお得意の粘りで対抗するも最後はブラジルの速攻が炸裂してラリーが終わるパターンが続き、７-10とブラジル３点リードで中国タイムアウト。このあたりから中国の攻撃が何をやってもブラジルのブロックに引っかかるようになり、13-17から孫月がフォフォンに完全にシャットされ、意気消沈。つまらないお見合など、中国らしからぬプレーも２、３見られ、たまらずを中国ベンチは桂 超然を投入。その桂 超然がいきなりクイックを決めるが、ブラジルに傾いた流れは変えられず、レイラにも再び元気が出始め、25-16でブラジルがあっさり取り返す。

第３セット、桂 超然がいきなり連続でクイックを決めるが、レイラが乗ってきてしまったら止められない。アナ＝モーゼもいつものような通過点を高くしたうまいアタックを打ち始め、８-５と３点リードで１回目のテクニカルタイムアウト。会場からも「ブラジルコール」が聞こえ始める。桂 超然以外の選手は完全にブラジルのリードブロックの餌食に合い、11-６。このセットも一方的になるのか？と思いきやレイラが再びバックアタックをミス。ここらあたりがどうももう一つ、この大会彼女が乗り切れていない証拠なのであろう。まだフォフォンとの息が完全には合っていないのかもしれない。11-９と追い上げられ、ブラジルタイムアウト。が、相変わらず、センター線は安定している。直後にジャニナがクイックを立て続けに決め、嫌なムードを絶つ。本当にジャニナはいい選手になった！中国がとうとう孫月を殷茵に代え、なんとか立て直そうとするも、レイラが今度は立て続けに強打を決めて、16-12で２回目のテクニカルタイムアウト。直後レイラがまた好サーブで相手を崩すが、中国も殷茵が超インナーを決める。中国も崩れそうで崩れない。殷茵と桂 超然の途中から入った２人の攻撃で何とか食らいつき、あれだけ決まっていたジャニナをこの２人が立て続けにシャット。そのあとレイラを殷茵がシャットし、たまらずビルナのパイプに頼るも弱気になってフェイントミスで21-19と２点差に追い上げられ、ブラジルタイムアウト。直後レイラが強打を決めれば殷茵がすぐにお返し。が、その殷茵をブラジルの３枚ブロックが見事にシャットし23-20。この１本が大きく、最後はビルナが決めて25-22でブラジルが取る。

第４セットになるとほんとにお互いミスが出ない。ブラジルが常に先手を握りつつも一進一退の攻防。13-14から呉 咏梅の連続サービスエースで中国が逆転し15-14となるも、ブラジルのリードブロックから、ナイスワンタッチを取り、それをジャニナ・ビルナが立て続けに決めて、再び逆転18-16。リベロのリカルダもナイスレシーブを連発。一方の中国もこのセットは王 麗娵が大活躍。彼女が連続で２段トスを決め、19-18と再逆転し、ブラジルタイムアウト。直後ジャニナを桂 超然が見事シャット。今度は会場から「チャイナ・チャイナ」の声援が。負けずとブラジルサポーターたちも「ブラジルコール」。やはりいい試合ならたとえ全日本の試合でなくとも会場は自然に盛り上がるのだ！無理矢理盛り上げようとするセット間のＤＪのかけ声などなくとも！こうなるとブラジルも王 麗娵には完全に３枚ブロックでマーク。クロスに抜いたところをリカルダが好レシーブで繋ぎ、ビルナのパイプ。が、中国もそれをナイスレシーブで繋ぎ、素晴らしいラリー。が、最後は中国のアタックミスで再び同点20-20。直後王 麗娵がまたまた強打で１点リードも桂 超然がサーブミスで21-21。直後ブラジルの方がサービスエースがでて22-21、中国タイムアウト。そのあと王 麗娵の強打を再びナイスレシーブで繋ぐブラジルに中国がついにじれて呉 咏梅がこの試合初めてといっていいミス。最後はレイラのバックアタックが中国コートに突き刺さり25-23。解説の杉山 明美さんもトスが上がった瞬間「レイラ！」と思わず叫ぶぐらいの好ゲームだった。

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